山本太郎と維新の志士

前回の予告の通り、今回はこの選挙で善戦された山本太郎氏について、思うところを書きたいと思います。

岩崎夏海さんの12月18日のブロマガの記事「山本太郎氏がひとりぼっちになり自民党が大勝がした理由(2,256字)」において、この山本太郎氏に関して書かれていました。
まずはこちらの記事をご紹介したいと思います。

岩崎さんはこの衆議院選挙で印象的だった事は「議論が成立していなかった」事と書いています。
また、この議論が成立していない状況で起こる事が二通り挙げられるとし、一つには「議論を突き詰めようとして、意見や立場が際限なく分裂していく」という事を挙げています。
そして、二つ目に挙げられるのは「「思考停止」である」と。

つまり、この一つ目の道筋の結果、分裂しきって誰とも相容れなくなったのが山本太郎氏であり、多くの国民が「思考停止」に陥った事によって自民党に票が流れた。このように岩崎夏海さんは記事にしています。

また、この記事で岩崎さんはドラッカーの言葉を引用しながらこう結論づけています。

今の政治において本当に必要なことは、現在の問い立てが誤っているという前提に立って、正しい問いを見つけることである。そうしないと、政治は二進も三進もいかない逼迫した状況が続いて、問題の改善はますます先送りされることになるだろう。


この「正しい問いを見つけること」について次の日のブロマガに詳しく書かれているので、気になる方は購読してみてください。


この岩崎さんの記事を読み、ニコ生の選挙特番で山本太郎氏がskypeで出演されていたところを改めて見直しました。
ひろゆき氏とやり合う場面もあり見てるこっちがヒヤヒヤするような出演ではありましたが、この二人の会話から感じたのは、山本太郎氏はとても優しい人だという事です。
このskype出演で太郎氏が繰り返し言っている事は「日本の人達を助けたい」という事でした。TPP参加による日本の農業の崩壊や、被爆している福島の方々を助けたいという事を何度も言っているのです。

3.11以降の一連の太郎氏の活動を見ていても分かる事ですが、氏は他人の為に涙を流せる人です。他人の為に自分を捨てる事が出来る人だと思います。司馬遼太郎風に言うと「感情の量が多い人」です。そして、司馬遼太郎が「感情の量が多い人」と評した人が西郷隆盛です。
僕は山本太郎氏の発言を聞いていて、この人は西郷隆盛のようだと思いました。

もちろん西郷隆盛に会った事はありませんし、全ては司馬遼太郎の小説からの印象ですが、西郷隆盛はとても心の優しい人だったようで、また人の為に涙を流せる人でありました。その優しさ故に政治家には向かず、明治維新後間もなく、政府は大久保利通に任せ自分は薩摩の自宅に帰りました。
その後、周囲の血気盛んな若い衆に担ぎ上げられ、明治政府との西南戦争の末に自害しています。

山本太郎氏を西郷隆盛に重ねてしまったのは、とにかく太郎氏が「助けたい」「命を救いたい」と言っていたからに尽きます。
また、ご自身も「政治で変えるには間に合わないかも知れない」と言っているように、太郎氏が成し得たい事が政治家に出来る事かどうかというのは非常に疑問です。ましてや、今は一人の党に出来る事は本当に限られているし、実際に実現する事は難しいと思います。

太郎氏のやりたい事は政治家がやる事というよりは、一種の革命に近いものがあります。あるいは、ノアの方舟を作るのに近いものを感じます。
いずれにしろ、何故政治家になろうとしたのかは疑問に思うところです。


太郎氏は当選こそしませんでしたが、今後どうしていくのかは非常に興味深いです。政治家とは別な道を探すのか、あるいは次の参議院選に出馬するのか。
動向を見守りたいと思います。


引用記事: 「山本太郎氏がひとりぼっちになり自民党が大勝がした理由」 http://ch.nicovideo.jp/article/ar23399
参考記事: 渡辺文重の有料メルマガ批評 http://www.targma.jp/watanabe/2012/12/19/post813/