ファッション

先日、夕方くらいに電車に乗っていましたら向かいに若い男性(推定20歳くらい)が座りました。
大学のサークル帰りなのか、上下を赤いジャージできめ、大きな荷物を自分の前に抱えておりました。
見るともなく見ていると、彼はポケットから携帯電話を取り出し、なにやら操作を。すぐさま携帯をパタンと閉じて(ガラケーでした)、自分の前にそれをかざし鏡の代わりにして、前髪を直し始めました。

彼の髪はそれほど長くはなく、全体的にミディアムといったところ。前髪も、ぴたっと伸ばしてやっと目が隠れるかどうか。そんなに長くはありません。

そんな前髪を彼は、まるで針に糸を通すような手つきでいじります。

とは言え、いじるのはものの数秒。いじった後の前髪は、控えめに言っても、大袈裟に言っても、一切変化は見られません。

そして、一分ほど経ったところで、彼はまた前髪をいじりました。携帯を鏡代わりにして、針に糸を通すような手つきで。数秒後、何の変化も無い前髪がそこにはありました。

彼が僕の前に座っていた10分ほどの間に、いったい何度その作業が繰り返されたかは定かではありませんが、10回くらいはやっていたと思います。
最終的にはやはり、微塵の変化も見られない前髪をしていた彼。
その作業は一体の何の為だったのか。
僕には見えない前髪がもう一つ、そこにはあったのか。
あるいは、その行為は宗教的なもので、何時から何時の間、決まった方角を向いて前髪を10回以上いじらなければいけなかったのか。

真実は今となっては闇の中です。もう彼にその事を聞く事は出来ないでしょう。
ただ僕はそんな、何の変化も無いのに前髪をいじり続けるような男は、

大嫌いです。

一体何なのでしょうか。大学生といい、ギャル男といい、チャラ男といい、髪型がそんなに大事なのかと。前髪がそんなに気になるのかと。んなもん気にする前に、他にも気にしなきゃならん事はいっぱいあろうと。

何故、僕がそんな方々、そんな前髪を気にする態度が嫌いなのか、ようやく一つの結論に達する事が出来ました。

それは、時間です。


先日のプレゼントの話と、結局は同じだった訳です。
プレゼントは時間の正なる形とするならば、その前髪は時間の負なる形であります。

髪型に費やしたその時間、前髪を気にしているその時間が目に見えて(実際、冒頭の学生君は目の前で見せられ)、嫌悪してしまうのでしょう。
同じような事例に、ファッション、お洒落が挙げられます。

よく原宿や渋谷辺りで見掛けるような、モードっぽい、エキセントリックなファッション。
あー、好きなんだな。お洒落が、洋服が大好きなんだなと、微笑ましく、、、、なりません。
なんだか、他にもやる事あるんじゃねーのかって思ってしまうんです。

ま、何に時間を使うかなんて人それぞれなんですがね。
ただ、冒頭の学生君に関して言うならば、

ちゃんと鏡で見ろ。
おまえの前髪は何も変わっちゃいない。
まずはそれを認識しろ。
話はそれからだ。

それに尽きます。
現実を正しく認識する事が一番大切です。