ATCQ

仕事として音楽を続けていく難しさを、改めて教えてくれた映画でした。


先日のブログにも書きましたが、「希望の国」を観た日の夜、僕はさらに映画を観ました。A Tribe Called Quest(以下、ATCQ)のドキュメンタリー、「Beats,Rhymes&Life」という映画です。

僕はATCQに関してはあまり知りません。この映画を観るまではフロントマンであるQ-tipの顔と名前くらいしか知らなくて、他のメンバーの名前、DJは誰でサウンドプロデュースなどは誰がしているかなど、殆ど知りませんでした。
ただ、アルバムを1stから4thまで通して聴くに、とても良い音楽で、明らかにヒップホップの歴史を変えたグループである事は、その音からも明らかです。

映画でも語られていますが、彼らがデビューした当時は、デ・ラ・ソウルやジャングルブラザーズがデビューした頃でもあり、その頃に新しいヒップホップが開花したんだなーと、改めて気付かされたのでした。


そんな中で、もっとも強く描かれているのはフロントマンであるQ-tipと、ファイフ・ドーグの不仲です。
最終的には仲直りをして映画が終わるとは言えど、グループとして継続的に活動をしていくのはやっぱり無理なんだろうなーと思わずにはいられませんでした。
Q-tipとファイフの間に挟まれるDJのアリ・シャヒード・ムハマドはさぞかし辛い思いでしょう。

世の中、誤解をしている人も多いかも知れませんが、バンドやグループというのは個々のアーティストの集合ではあるかも知れませんが、団体としては一つの会社のようなものです。
つまり、バンド活動やグループでの活動というのはビジネスに似ています。集合体としては皆が同じ目標に対して足並みをそろえる事が必要です。

Q-tipとファイフは発言がことごとく食い違います。グループ解散についてもQ-tipは「レコード会社との戦いに疲れた」と言い、ファイフは「Q-tipがソロでやりたくなっただけ」と斬り捨てます。
結果としては、グループ解散後にQ-tipはソロでも成功しているのでファイフの言う事が正しいかも知れませんが、Q-tipの言うように制作費やアルバム発表に関して、レコード会社とはかなり争っていたとは思えます。

真相はどうあれ、一つの事象に対して発言が食い違う事自体がコミュニケーションの不足とも言えますし、一つの目標を共有出来ていなかったのではないかと思うんですな。
本当に、活動を継続するのは難しいね。


映画の内容に関しては、とても勉強になりました。
ATCQのどんなところが、あの時代にとって素晴らしかったのか、現在活躍しているミュージシャンにどんな影響を与えたのかなど、他ではなかなか聞く事が出来なそうな事が色々語られています。
もっとライブの映像が観たかった。けど、それは映画の主旨とは違うようなので言わないでおきます。

音楽の映画は好きで、よく観ます。その度に違和感を覚えるのは皆が座席にきちんと座って映画を観ている事。
こういう映画はライブハウスみたいなところで、オールスタンディングで酒でも飲みながらってのが似合っているように思います。
なんか、そんな風に映画を見せてくれるイベントとかあってもいいんじゃね?って思わされる映画でした。


余談ですが、前回の読書感想文は津田さんにRTされて色んな人に読まれたようです。ざっと普段の5倍以上のPVでした。20万フォロワーの力を改めて思い知りました。

頑張ります。