夢について

「諦めなければ、夢は叶う」

こんな事を声高に語る大人がいます。僕はこの言葉がとても嫌いです。なぜなら、「諦めなければ叶う」のではなく「諦めないから叶う」と僕は思っているから。

夢が叶う系のお話で思い浮かぶ作家は、なんと言ってもリチャード・バックではないでしょうか。
彼の著書は「かもめのジョナサン」「イリュージョン」「One」とどれも素晴らしいです。と言っても、しばらく読んでないので内容はうろ覚えですが。
僕の中で、夢を諦めずに叶えた主人公として、まず思い浮かぶのがジョナサンなんです。より速く飛びたい、と思い続け、飛び続けて、結果誰よりも速く飛べるようになったのがジョナサンです。

つまり、夢とはそういうものなのではないでしょうか。

安西先生も言っているように、諦めたらそこで終わりなんです。夢を叶える為には諦めたらダメなんです。そこで夢は叶う事無く終わってしまうから。
大切なのは、夢に向かう意志であり、その意志を伴った行動です。何かなりたいものがあるなら、その為の努力をするのは当然だし、何かやりたい事があるなら、その為に行動するのが当然です。

ここで冒頭の言葉ですが、「諦めなければ、夢は叶う」。
この言葉には、どこか漠然と、「諦めなければ夢が叶いますよ、願い続ければ夢はきっと叶いますよ」みたいな、そんなニュアンスが含まれているように感じられてなりません。

既に皆さんはご存知かも知れませんが、そんな事は決してありません。
一番簡単な例ですと、宝くじの一等は皆に当たりません。皆は一等が当たる事を願って宝くじを買うはずです。

でも、皆に一等が当たる訳は無いのです。

ただ、一部の宝くじファンは「一等が当たるまで買い続ける」と思っているかも知れません。
そうなると、話は違ってきます。そんな人ならば、「諦めない限り」一等が当たるかも知れないのです。

しかし、こんな人でも死ぬまで宝くじを買い続けたからと言って、一等が当たるとは限らないのです。死ぬまでに宝くじを買う為の資金が底をつくかも知れませんし、宝くじ自体が無くなってしまうかも知れません。
でも仮に、宝くじを買う事を自ら諦めてしまったらそこで試合終了なのです。もう「一等を当てる」という夢は、永久に叶う事が無くなります。

何度も言いますが、諦めた時点で夢は二度と叶いません。叶える為に、絶対に諦めてはいけないのに、そもそも冒頭のような言葉が生まれる事自体、なんだかおかしい気がしてきましたよ。
もしこのブログを読んだ高校生や中学生がいるなら、そんな言葉には惑わされず、まず第一に「本気で夢を叶えたいと願うなら、まずは諦めるな」と言いたいです。そして、更にその夢に向かって努力を重ねて下さい、と。

アントニオ猪木氏は「夢とは叶わないもの」と言っています。叶った瞬間に夢ではなくなり、また次の夢が生まれるから、と。これはこれで素敵な考え方だとは思います。でも僕は諦めないで努力した結果、運が良ければ叶うのが夢だと思っています。諦めない事、正しい努力をする事、運が良い事が条件だと思っています。

なにはともあれ、これから夢を叶える若者諸君、「諦めたらそこで試合終了ですよ」。

まじで。