必要なのは無料の情報なのか

先日、津田大介さんのメルマガの感想ツイートを眺めていたら、「こんなに有益な情報なら全て無料公開にしても良いと思う」というような感想がありました。個人的に、これはちょっと違うのではないかと疑問に思ったので、今日はその事について書きたいと思います。

まず、皆さんは情報というものが基本的に無料だと思っているかも知れません。しかしテレビに関して言えば、広告を出す企業の商品を、テレビを見ている僕たちが買う事で更に広告を出す企業が生まれ、そういった企業の広告費で番組が成り立っています。新聞は勿論月額で購読されていて、週刊誌やその他の雑誌もお金で買われています。いわゆるマスメディア、オールドメディアと呼ばれる媒体は全て有料で情報を流しているのですね。
他方、インターネットでは検索すれば欲しい情報が無料で手に入ります。しかし、これらのwebサイトを見てもサイトの端には広告が置かれています。このようなサイトも広告を置く事によるアフェリエイト収入などが主な財源になっているのではないでしょうか。

つまり、完全に無料の情報というのはなかなか無かったと思うのです。インターネットで得られる情報も、無料のように見えますが、実は広告費に支えられていた情報なのです。
勿論、中には例外もあります。もっとも有名なものはフリー百科事典ウィキペディアではないでしょうか。ウィキペディアは、ウィキペディア財団が運営している非営利のサイトです。寄付で成り立っています。ウィキペディア内の情報はクリエイティブコモンズというライセンスを付与しているので、条件さえ満たせば誰でも共有が可能です。
クリエイティブコモンズについては、そのうち詳しくこのブログで書きたいと思っています。現在はクリエイティブコモンズライセンスのように従来の著作権とは違ったライセンスもあり、設定によってはクレジットさえ明示すれば営利利用も出来たりするんですね。詳しくはまた今度。

また、有料の情報として最近注目を集めているのが有料メルマガです。堀江貴文さんや上杉隆さん、津田大介さんなどが有名です。
ただ有料のメルマガとインターネット上にある情報の違いとは、メルマガは閉ざされた空間で購読しない限りアクセスしづらく、ネット上の情報は誰でも簡単にアクセスが可能という事です。
そういう事があるので、冒頭のような事を言う人が現れるのでしょう。つまり、これだけ有益な情報なのだから誰でもアクセス出来るようにするべきではないのか、と。これに関して、実は津田さんは答えを出しています。津田さんのメルマガの一部はブロマガや夜間飛行というメルマガスタンドのページで無料公開されているのです。メインの記事はそこで閲覧可能なのです。

しかし、僕が思う問題点はそういったところとは少し違います。つまり、堀江さんも上杉さんも津田さんも、ある意味でビジネスとして情報を売っているのです。時間を掛けて裏をとったり、構成をし編集をし、一本の記事やメルマガにパッケージしたものを、とても良い記事なのだから無料で公開すれば良いとは、これは一体何事だと、僕は思ったわけです。
例えばそれは、ポールマッカトニーに「そんなに良い曲なんだから無料でバラ撒けば良い」とか、村上春樹に「こんなに面白い小説なんだから、皆に配れば良い」と、そんな事を言っているのと同じなのではないでしょうか。

情報というコンテンツの地位がもう少し高くなっても良いのではないでしょうか。今回はそんなお話でした。