音楽のこれから

少し前の事ですが、こんな記事を読みました。

第47回:いつの間にロック少年は「洋楽」を聴かなくなったのか?
http://www.drillspin.com/articles/view/526

今、気付きましたが、記事自体は一ヶ月前なのですね。ぼくがこの記事を読んだのはちょうど、前回のブログを更新したクリスマスイブだった気がします。
今回はこの記事を読んで思ったところを。

ざっくり要約すると、洋楽自体は世界的に見たらそこそこ売れてきてるし、10代のロック少年にとってのヒーローが現われれば、日本でも洋楽カルチャーが復興するのでは??という内容です。
記事では、昨年一年クロスビートの表紙を飾ったアーティストを並べたり、日本国内の邦楽と洋楽の生産数量の比率が載っていたりと、なかなか興味深いものになっています。

ただ、この記事は「ヒーロー誕生」で結ばれています。結局、少年達が憧れるようなカリスマの誕生で、洋楽を聴く人が増えるのではと。
この部分には同意し兼ねました。問題はそんなに単純なものでは無いはずです。


僕が思うところは二点あります。まず一つが、音楽に夢が無くなったという事です。

僕が音楽の道でご飯を食べたいと思った10代の頃、つまり今から15年ほど前というのは、まさにCD売上の黄金時代。特にバンドに元気がありました。
例えば、僕の年代なら皆が知っていたGLAYやL'Arc-en-Cielは二枚同時にシングルをリリースし、その二枚どちらもミリオンになっています。

必ずしも、ビジュアル系でやっていこうとは思わずとも、音楽自体に夢があった時代です。自分の好きな音楽をやってご飯を食べていく事が、今よりも随分と現実味があった時代だったと思います。

また、この時期というのはFISHMANSがとても良いアルバムを出していた頃です。
彼らは自分達のスタジオを持ち、時間に縛られる事無く自由に音楽を作っていました。10万枚売れるかどうかというバンドが、このような活動をしていた事も夢のある話です。
とは言え、今の時代に10万枚を売るというのは、まさに夢のような話だとは思いますが。

現在では、ミリオンヒットもFISHMANSのような活動も非常に難しいでしょう。ジャニーズやAKB48などのアイドルでなければ、安定したCD売上が見込めない状況です。
そんな状況では、音楽少年が音楽を仕事にする事を夢見るのは難しいと思います。なにより、親が許さないと思います。


そして二つ目ですが、音楽業界に体力が無くなってきた事です。

音楽雑誌やレコード会社など、全て含めた音楽を取り巻く業界自体に体力が無くなってきた事は自明です。それ故に、紹介した記事にもあるようにクロスビートの表紙があんな事になるのではないでしょうか。

ロック少年のヒーロー候補なんてのは実は数年おきに定期的に出てきていて、そのアーティストを全力でプッシュするだけのお金が業界全体に無いのが問題です。
記事の最後に紹介されているPalma Violetsと同じようなバンドは、今までも何度か出てきました。しかし、どのバンドも2ndアルバムまで売れた事は無いように思えます。

正直に言って、「ラフ・トレードのレーベルオーナーが」と始まった時点で、あーまたか、と思わずにはいられない訳です。なので僕の見立てでは、Palma Violetsはほどなく消えるでしょう。今年のフジロックには出るかもしれませんが、来年は難しいと思います。


以上が、記事を読み、僕が思った事です。思いの外、筆が乗りましたので、このテーマは次回に続きます。
次回は「僕の思う、これからの音楽家」で書きたいと思います。

お楽しみに。